ゆとり庵事業について
コンセプト
柔軟なサービスで
その人らしい在宅生活を支えます
ゆとり庵では、通い・泊まり・訪問サービスを複合的に提供します。
必要な介助をお一人おひとりの暮らしに合った形をご提案するほか、「ライフサポートワーク」の考えに則り、これまでの利用者様の生活・趣味・習慣・楽しみにも着目し、それらが維持できるよう、柔軟にサービスを提供いたします。
これまで通りまたは、これまでよりもさらに良い生活が住み慣れた地域で続けていただけるように、私たちはサポートしてまいります。

多職種連携でのサポート
介護職
利用者様の思いを取り入れた介護計画のもと、食事や入浴・排泄等の日常的な介助を行うとともに、食事作りや買い物、片付けといった生活動作を通して自立支援を行います。
看護職
医療機関と連携し、主治医の指示のもと必要な医療的ケアを行います。また、予防的な視点で、ご病気や老年期における身体の変化に対しての健康管理を行います。
リハビリ専門職
(理学療法士・作業療法士)
利用者様ごとの心身の状態を評価し、ADL(日常生活能力)の維持向上を目指してこれまでの趣味や生活習慣に合わせたリハビリ計画(=生活リハビリ)を提案し、介護職・看護職と一緒に実践していきます。
介護支援専門員
「通い」「泊まり」「訪問」を一体的に提供するために、介護サービス計画(ケアプラン)を施設専属で作成し、急な変更にも柔軟に対応します。

ご利用事例
関係づくりを丁寧に行い、役割のある生活を実現
90代前半/女性
別居されている娘様より「一人暮らしをしている母が、認知症の進行で薬の管理や食事、入浴が思うようにできていない」というご相談を受け、サービスの利用開始となりました。
娘様はゆとり庵への「通い」をメインにしたサービス利用を希望されていましたが、ご本人より「行きたくない」との拒否があったため、ご自宅への「訪問」サービスご利用から始められました。
介護職員が訪問時に服薬確認と安否確認を行うと同時に、まずはご本人との関係づくりを行うこととなりました。職員とご本人が顔見知りの関係になることを目指して、訪問するスタッフを数名に絞り込んだうえでケアを提供するようにしたことで、徐々にご本人の気持ちもほぐれ、受け入れてくださるようになりました。
担当スタッフとの関係づくりをしていく中で、ご本人本来のやさしさと面倒見の良さを見せていただく機会も増え、若い頃は農業をしてこられたことなどをお話してくださるようにもなりました。ゆとり庵にも畑があることをお話ししたのをきっかけに、施設へ関心を持たれて、畑しごとに一緒取り組んでいただくとともに、拒否をしていた「通い」をご利用いただけるようになりました。
一人暮らしの生活をつづける中でも、施設利用時のご本人の役割意識や日々の生活にメリハリが生まれ、心身ともに以前より安定されました。今では週2回ゆとり庵で畑しごとをした後、お風呂で汚れを落とすことが日々の習慣となっています。
久しぶりの家族時間、神戸へ
80代前半/女性
老老世帯でお暮らしのご夫婦。ご本人は進行性のご病気を抱えておられ、年々、主に介護を担ってこられたご主人のご負担も大きくなっていました。遠方にお住まいのご家族も、できる限り帰省して介護を手伝っておられましたが、やはり限界があり、このたびサービス利用のご相談をいただきました。
ご本人には「できる限り家族の手を借りずに、自分のことは自分でしたい」というお気持ちがありましたが、ご自身の病状の進行についてはきちんと理解されており、思うようにいかない現実に歯がゆさを感じておられました。ご家族も「できる限り住み慣れた家での生活を続けてほしい」という思いから、通いや訪問などのサービスを組み合わせながら支えていくことになりました。
現在は、週3回の「通い」(うち1回は夕食後に帰宅)、毎朝と週6回の夕方の「訪問」、必要に応じた「宿泊」や「訪問リハビリ」、福祉用具の貸与などを活用しながら、安心して在宅生活を続けておられます。
事前のアセスメントの際、ご本人から「以前は夫や子ども、孫たちと一緒に買い物に出かけて、プレゼントを選ぶのが楽しみだった」というお話があり、「もう一度家族と一緒に出かけたい」というご希望が聞かれました。そこでご本人・ご家族と何度も話し合いを重ね、行き先や方法、時期をじっくり検討し、実現に向けて一緒にプランニングをしました。ご本人は「本当は歩いて行けたら一番うれしい」とおっしゃっていましたが、現在は長距離の歩行が難しいため、車いすを利用してのお出かけとなりました。
当日はゆとり庵で送迎をお手伝いし、その後はご家族とゆっくり過ごしていただくプランで支援。ご本人は久しぶりの外出をとても楽しみにされ、当日も約半日、ご家族と笑顔で過ごされました。帰宅後には「本当に楽しかった」「また行きたい」とのうれしいお言葉をいただき、職員も心温まる思いでした。
後日も、当日の出来事をうれしそうに何度もお話しくださり、笑顔が絶えませんでした。もともとご本人はとても社交的で、ご友人と女子会に出かけたり、地域のサロンに参加されたりしていましたが、病状やご家族への配慮から、だんだんと外出の機会が減っていました。
今回のお出かけをきっかけに、ご本人の気持ちにも前向きな変化が見られ、今ではゆとり庵の送迎支援を活用しながら、地域の集まりにも不定期で参加されるようになりました。ご友人たちもご自宅に顔を出してくださるようになり、少しずつ以前のような人とのつながりが戻ってきています。
地域とつながる一歩、そして自宅での新しい役割
80代後半/女性
ご主人と娘様との三人暮らしをされているご本人様。
ご自宅で転倒され、骨折による入院を経て、無事に治療を終えられ、退院されました。退院後は「自宅での生活がうまくできるか不安」との思いをお持ちだったことから、柔軟にサービスの調整ができる小規模多機能型居宅介護(小多機)の利用がスタートしました。
ご本人様は「これまで通り、家族と一緒に自宅で暮らしたい」という思いが強く、ご家族様も「できることは自分でしながら、無理なく過ごしてほしい」とのご希望をお持ちでした。
そのお気持ちに寄り添い、まずは通いサービスを週3回開始し、定期的な外出の機会をつくることで、活動量の確保や他者との交流を目的としました。同時に、自宅での支援として訪問サービスを週4回開始。通いサービス以外の日には、安否確認や体調チェックを行いながら、ご本人様と一緒に簡単な体操にも取り組み、できることや難しいことの確認を重ねました。また、月2回の訪問看護も利用し、健康管理とリハビリを行っています。
ゆとり庵での「通い」の時間には、事業所の周りを一緒に散歩したり、体操に取り組む中で、少しずつ体力や持久力もついてこられました。
そんな折、ご本人様が暮らす町内の集会所で毎週1回、体操教室が開かれていることを耳にしました。
当初、ご本人様は「どうしようかな…」と少し消極的でしたが、ご家族様からの「行ってみたら?」という温かい後押しもあり、試しに参加してみることに。
私たちから地域の民生委員さんにも連絡を取り、快く参加の許可をいただき、初回はご本人様と事業所のスタッフが一緒に参加しました。
顔なじみの方もいらっしゃり、久しぶりに地域の方とお話しする機会となり、「次も参加してみようかな」と笑顔で話してくださいました。
その後は、「訪問」サービスの一環として、自宅から集会所までの送迎を私たちが担当することで、一人でも安心して参加できる体制が整いました。民生委員さんからも「何かあればすぐに連絡します」との心強いご協力もいただき、ご本人様は無理なく継続して体操教室に参加されています。
骨折をきっかけに、気持ちが内向きになっていたご本人様でしたが、少しずつ前向きになり、今では「家族の洗濯物を畳む」という新たな役割もご自宅で担われるように。
その変化に合わせて、通いサービスの利用時間は減り、自宅や地域で過ごす時間が自然と増えてきました。
これからも、ご本人様の「やってみたい」「続けたい」という気持ちを大切にしながら、その時々の状況に合わせて、支援を続けてまいります。
利用者様の「やりたいこと」や夢を叶えるサービスを提供
90代前半/女性
ご本人は、舞台女優として活躍されている娘様のことをとても誇りに思っておられ、元気な頃は欠かさず劇場へ足を運び、観劇を楽しまれていました。
しかし、介護が必要となってからは外出が難しくなり、「舞台を観に行きたいな」と寂しそうに話されることもありました。
そんな中、「ゆとり庵」ご利用の際に、ご本人のその想いを少しでも叶えたいと職員が一緒に観劇の計画を立て、実際に舞台を観に行くことができました。
久しぶりの外出に、はじめは少し緊張されたご様子でしたが、いざ舞台が始まると目を輝かせ、「娘がちゃんとできるか心配なの」「今のシーン、とてもよかったね」と話されながら、母として娘様の舞台をしっかりと見守っておられました。
終演後には「やっぱり娘の舞台は格別ね」と、満ち足りた表情で笑顔を見せてくださり、約2時間の舞台を最後まで楽しまれていました。
ご本人だけでなく、ご家族様からも「まさかまた一緒に観劇できるなんて夢のよう」「こんなことまでしてくださるとは」と、喜びの言葉をいただきました。
その言葉を受けて職員も、ご本人とご家族にとってかけがえのない時間をご一緒できたことを心から嬉しく思いました。これからも一人ひとりの「その人らしい暮らし」に寄り添いながら、支援を続けてまいります。
人生の最期を看多機で希望、多職種連携を強化しながらターミナルケアを提供
90代前半/女性
ご本人は「ゆとり庵」をご利用されながら、入退院を繰り返す日々を過ごされていました。度重なる入院により、徐々に身体の状態が低下していく中、ご家族からは「できるだけ穏やかに、最期までこの町で見守りたい」との温かな願いが寄せられました。
その思いを受けて、「泊まり」サービスの利用を開始し、住み慣れた地域での暮らしを支える支援が始まりました。
訪問診療による医師の診察と日々の体調変化に応じた対応に加え、ご本人の「最期まで口から食事をしたい」という強い希望を尊重し、言語聴覚士との連携のもと、経口摂取の継続に向けた支援が行われました。
その願いは叶えられ、ご本人は最期まで自らの口で食事を味わいながら過ごされました。
ご家族も毎日のように面会に訪れ、穏やかな時間の中で笑顔や言葉を交わされる姿がありました。
ご本人は、大切な人たちに見守られながら、静かに、穏やかにその生涯を閉じられました。
一人ひとりの想いに寄り添い、柔軟な支援を重ねることで、その人らしい最期を支える時間が育まれていきました。
これからも地域の中で、その人らしい暮らしと人生の締めくくりが守られるよう、支援は続いていきます。
人生の最期をゆとり庵で希望、多職種連携を強化しながらターミナルケアを提供
90代前半/要介護5/女性
ゆとり庵を利用しながら入退院を繰り返していた中で、身体的状態が低下したためご家族の希望で当事業所での泊まりの利用を開始されました。 訪問診療の医師との連携を強化しながら、言語聴覚士や嚥下の認定看護師とも連携。最期の最期まで経口で食事ができ、毎日面会に来られていたご家族に見守られる中でご逝去されました。
ご家族の希望に沿って柔軟に対応できたことで、QOLの高いターミナルケアを提供することができました。
新規開設情報
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ゆとり庵安倉北
2025年3月開設(兵庫県宝塚市)
看護小規模多機能型居宅介護事業所